超音波検査技術
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早期公開論文
早期公開論文の2件中1~2を表示しています
  • 岡村 優樹, 山口 俊, 久保 祐子, 日野出 勇次, 梅橋 功征, 西方 菜穂子, 馬場 善政
    論文ID: 415
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/04/12
    ジャーナル 認証あり 早期公開

    症例は30代男性.2週間持続する発熱と倦怠感にて前医受診し,感染性心内膜炎が疑われ,精査加療目的で当院紹介となった.経胸壁心エコー図検査において,僧帽弁前尖の疣腫の付着と弁穿孔および腱索断裂,弁周囲膿瘍を疑う所見を認め活動期感染性心内膜が疑われた.即日入院加療となり,血液培養からGemella morbillorumが検出され,感染性心内膜炎と診断された.抗菌薬加療により,入院31日目の経胸壁心エコー図検査で,感染の治癒化,感染波及の消退を認めた.僧帽弁置換術が施行され経過良好にて退院となった.

    今回,弱毒菌であり,口腔内や上気道,消化管,尿路などに常在する通性嫌気性グラム陽性球菌で,感染性心内膜炎の起因菌として検出されることがまれなGemella morbillorumによる弁破壊を伴った感染性心内膜炎の症例を経験した.経胸壁心エコー図検査は,治療による弁および周囲への感染波及の経時的変化を捉えるのに有用であると考えられた.

  • 阿部 拓也, 藤井 豊, 塙 晴雄, 池上 喜久夫, 渡邊 博昭
    論文ID: 420
    発行日: 2024年
    [早期公開] 公開日: 2024/04/12
    ジャーナル 認証あり 早期公開

    目的:超音波造影剤(Ultrasound Contrast Agents: UCA)は,開発時に炎症が確認されているなど,UCA投与の潜在的な有害作用,特に臓器局所への有害作用に関する懸念が残っている.本研究では,UCA投与における炎症性遺伝子の発現に焦点を当て,主要臓器に及ぼす影響を評価した.

    対象と方法:Sprague-Dawleyラットを用い,UCA投与群とControl群に分けた.UCA投与(Sonazoid®,0.015 mL/kg)後に10分間超音波照射した.Control群にはUCA投与の代わりに,生理食塩水を0.015 mL/kg投与した.その後,主要臓器(心臓・肺・肝臓・腎臓)を摘出し,MCP-1, IL-6, IL-10, TNF-αの遺伝子発現を評価した.

    結果と考察:UCA投与群では,Control群と比較してすべての臓器でMCP-1, IL-6, IL-10が有意に高値を示した.TNF-αは肝臓と肺で有意な高値を示した.この結果から,UCA投与により臓器局所での炎症が惹起され,特に肝臓および肺における傷害が顕著であることを明らかにした.毛細血管内でUCAのマイクロバブルが滞留・集積し,血管内皮傷害などが要因で炎症を惹起している可能性がある.

    結論:本研究は,UCA投与における主要臓器局所への弊害の新たな知見を提示した.UCA投与による炎症性遺伝子の発現は主要臓器局所で増加し,その傷害は特に肝臓および肺において顕著であることが確認された.

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