北関東体育学研究
Online ISSN : 2759-5706
Print ISSN : 2189-9622
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原著論文「実践研究」
  • 藤井 一貴, 大友 智, 森 裕子, 吉井 健人, 西田 順一, 深田 直宏, 宮尾 夏姫, Zhan Lan , 髙田 凌佑
    2025 年10 巻 p. 3-12
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/13
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,共生に関する指導内容を取り入れた体育授業プログラムを開発し,その効果を検討することであった.目的を達成するために,本研究ではTranstheoretical Modelを体育授業に適用したProgram of Transtheoretical Model in Physical Education(以下,PTTM-PEと略す)を開発した.

     その結果以下の4点が示された.第一に,PTTM-PEは,上位群の「運動の共生」の中央値を高い値で維持し,下位群の「運動の共生」の中央値を有意に向上させた.

    第二に,PTTM-PEは,上位群の学びに向かう力,人間性等体育授業評価尺度(以下,学人尺度と略す)における総合平均値の中央値を高い値で維持し,下位群の学人尺度における総合平均値の中央値を有意に向上させた.第三に,関心局面において消極的関心局面及び積極的関心局面の2つのサブステージが見られた.第四に,70%の生徒(30名中21名)において変化の段階の向上が見られた.

研究資料
  • 霜鳥 駿太, 木内 敦詞, 西田 順一, 中雄 勇人
    2025 年10 巻 p. 13-26
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/13
    ジャーナル フリー

    本研究は,これまでの徳性の強み研究を概観することを通して,スポーツ教育の実践に活かす具体的な方略を展望することを目的とした.複数のデータベースにおいて,10の日本語検索語(強み,スポーツ,体育,運動部活動など)と14の英語検索語(Strengths,Sport,Athlete,Physical Education,Physical Activityなど)から国内外の対象論文を抽出した.それらをもとに,徳性の強みの基礎研究,介入研究,スポーツとの関連についての知見を整理し議論した.その結果,スポーツ活動において,自己の徳性の強みを認識し様々な場面で活用することや,それらを集団で共有しフィードバックすることなどが有効であることが示唆された.

事例報告
  • 安波 慎悟, 石塚 諭, 石井 幸司
    2025 年10 巻 p. 27-37
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/13
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,体育授業における授業中盤の振り返り活動が,学習者の目標設定と学習方略の使用に与える影響を明らかにすることである.そこで,小学校第6学年を対象に陸上運動「ハードル走」において授業中盤の振り返りを取り入れた授業を実践した.その結果,対象者全体及び運動有能感下位群の40mハードル走の記録が有意に向上したことからも,授業中盤の振り返りは,ハードル走の技能を高める有効な学習方略の使用を促す可能性がある.一方で,運動有能感上位群の40mハードル走の記録に有意な変化が認められなかったことから,技能を高めるためには,人的リソースとしての授業者の適切な介入が必要であることが示唆された.また,授業中盤の振り返りによって,目標を再設定する傾向のある学習者の40mハードル走の記録に有意な変化が見られたことから,ハードル走の技能を高める上で,授業中盤の振り返りによる目標の再設定が効果的であったと考えられる.

  • 久保 元芳, 佐久間 史穂
    2025 年10 巻 p. 39-48
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/13
    ジャーナル フリー

    性行動が活発化し,人工妊娠中絶,性感染症,性暴力等の問題が顕在化する時期である大学生への性教育の充実は重要である.本研究では,教員養成学部の学生を対象に,自身の将来像をイメージしながら性に関する課題を学習できるような2回の授業を構想した.具体的には,性感染症,妊娠と不妊,パートナーとの関係性の構築,多様な性の尊重などの内容を位置づけ,事例に基づく話し合いや自身のライフプランの立案と修正等の活動を取り入れた.受講生34名における効果として,生殖機能,避妊法,性感染症の各知識の正答率が授業前後で向上した.また,授業に対する主観的評価(興味や関心が持てた,深く考える場面があった等)は良好であり,感想のテキストマイニングでは「考える」と「自分」「ライフプラン」「授業」等が共起していた.一方,自己のキャリア選択に関する成熟度である「人生キャリア計画性」の変容は確認されなかったことから,今後の授業改善に向けた課題も明確となった.

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