ダイズネモグリバエに對してペストツクス400倍と800倍液をダイズの發芽と同時に灌注, または撒布し, メチルパラチオン1.5% (ホリドール) 粉剤とBHC1%粉剤を播種の際に床面に撒布, または發芽後5日目に地際に撒布して圃場でその効果を比較した。その結果はつぎのとおりである。
1) いずれの藥剤もダイズネモグリバエの若令幼虫に對していちじるしい殺虫効果はあるが, BHC粉剤の播種床面撒布, ペストツクス400借及び800倍液の灌注が最もよい。ペストツクス800倍液の撒布及びメチルパラチオン粉剤の播種床面撒布がこれにつぎ, BHC及びメチルパラチオン粉剤の地際撒布はともにやや劣る。
2) ペストツクスは撒布すると効果は灌注に比べて劣るが殺虫作用は早く現われる。400倍と800倍液の灌注による効果には有意な差がない。
3) BHCとメチルパラチオン粉剤の播種床面撒布はそれぞれ地際撒布した場合よりも殺虫効果が大きい。特にBHC粉剤の幡種床面撒布は卵に對しても影響するように思われる。地際撒布ではBHCとメチルパラチオン粉剤の間では殺虫効果には大差はないが, メチルパラチオン粉剤は殺卵効果がある。
4) ダイズの生育はBHC粉剤の播種床面撒布によつて枝根が異常に發生し, また, ペストツクスの灌注によつて初生葉・第1・2・3本葉が黄變し, 早く落葉する傾向がある。それ故, これらの藥剤は殺虫効果があるけれども實用的にはまだ檢討の必要がある。
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