小児の先天性喉頭疾患は, 喉頭軟化症に代表されるように, 自然治癒する例が多い.しかし, 中には重症例もあり, いくつかの喉頭疾患や, 他の全身的奇形を合併する例もあり, 呼吸困難, 発声障害, 哺乳障害をきたし治療に苦慮することもある.HolingerやNarcyの分類によると, 喉頭先天性疾患は (1) Laryngomalacia (喉頭軟化症) (2) Web, Stenosis (喉頭狭窄) (3) Vocal cord paralysis (声帯麻痺) (4) Cyst (嚢胞) (5) Hemangioma (血管腫) などが主なもので, 特殊なものとして (6) Laryngeal cleft (喉頭裂) (7) 喉頭共同運動不全などもある.今回は自験例を中心に, 他のシンポジストと重複しないように呼吸軟化症, 嚢胞, 血管腫, 喉頭裂の症例を呈示し, その診断, 治療について述べ, 注意点や問題となることを挙げる.
喉頭軟化症は, 様々なtypeがあり, 診断の困難な例もある.ビデオも呈示して, 供覧する.手術の必要な例はまれだが, 重傷例では適応となる.嚢胞は, 根治的には全摘するのがよいが, 乳幼児では侵襲が大きく, 切開のみでその後再発しない自験例もある.血管腫は, 声門下血腫がほとんどで, 自然治癒も多い.レーザー治療インターフェロン, 全摘出術などの治療について, 自験例を呈示して検討する.喉頭裂は, まれな疾患だが, 軽症は見逃されやすく, 診断も注意が必要である.保存的治療と手術的治療を行った例を比較して検討する.
先天性喉頭疾患には自然治癒例が多く, 全身的・局地的合併症を十分把握した上で, まず自然治癒していくか判断する.そして保存的治療, 対症療法の選択と, 治癒傾向が認められなければ, 手術適応の決定とその最適の方法, 時期を選択する.
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