漢字仮名まじり文に読み下された万葉集について,万葉集の中で使用されている気象用語に着目し,それらの気象用語が和歌においてどのような表現方法として使用されているのか,その特徴を分析した.万葉集の和歌4,516首中,気象用語が使用されていたのは497首で,雪が140首,雲が139首,雨が132首,風が132首,その他(霧,曇り,霞,霜,霰)が44首で使用されていた.巻第一から巻第二十までのいずれの巻においても気象用語が使用されていたが,気象用語の使用が多いのは雑歌と相聞歌で,巻第八(60首/246首:24.4%)と巻第十(117首/539首:21.7%)において使用頻度が高かった.気象用語の多くは枕詞になっており,枕詞が掛かる語にも多く使用されていた.和歌においては,暗い,寒い,冷たいといったイメージに結びつく気象用語が多用されており,特に,恋人への想いを悲しさや寂しさによって表現したり,感情の動きを効果的に表現したりするために使用されていると考察された.
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