Single photon emission computed tomography(SPECT)とcomputed tomography(CT)の融合画像が、ソフトウェアの進歩やSPECT/CT専用装置の開発により臨床で利用できるようになった。ソフトウェア法では、さまざまなモダリティ間の融合画像が可能で、重ね合わせのためにいろいろなアルゴリズムが使われている。現在、相互情報量を用いた位置合わせのアルゴリズムが有力とされている。また、ソフトウェア法では全自動で処理できることが臨床診療では重要である。専用装置を用いる方法は、SPECTとCTの撮像が被験者を動かさずに検査できる利点を有し、ずれの少ない融合画像が作成できる。さらに、CT像によるSPECT像の減弱補正も可能である。当初融合画像は動きのない頭部領域で主に利用されていたが、最近は胸部や腹部領域でも利用可能となった。融合画像の有用性は、SPECT画像とCT画像単独で認められる欠点をお互いに補える点である。臨床的には、融合画像は主に腫瘍のステージングやリステージングに有用とされ、視覚的に評価が難しい小病変にも有用である。最近では、心臓領域での有用性も検討されるようになった。冠動脈病変と虚血領域との関連性などが評価できる。今後、融合画像が臨床利用されるにあたり、臨床現場ではSPECT像の読影に加え、CT像の読影も必要となる。
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