慢性腎臓病、特に透析患者は認知症のハイリスクグループである。透析患者では認知症の有病率は一般人口の1.4 倍である。障害される認知機能の領域は注意・集中、実行機能が中心であり、アドヒアランス低下と関連している。予防が重要であり、具体的には心血管系危険因子の管理、透析中の血行動態の安定化、うつ病・睡眠障害への対応、ポリファーマシーの回避、運動が挙げられる。加えて、適切なスクリーニングと早期治療に繋げる必要がある。認知症ケアの基本はパーソンセンタードケアであり、多職種による統合的ケアが求められる。
早期から「人生会議」(advance care planning)の導入を考慮する等、長期的な視点で意思決定支援を行う。