日本食育学会誌
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原著論文
  • 塩田 良子
    2026 年20 巻2 号 p. 83-97
    発行日: 2026/04/25
    公開日: 2026/04/29
    ジャーナル 認証あり

    〔目的〕公立小中学校における栄養教諭・学校栄養職員の配置実態を、義務標準法に基づく定数の算定の観点から分析し、児童生徒の食に関する指導の機会保障の現状および現行制度の課題を明らかにすることを目的とした。

    〔方法〕文部科学省の調査研究協力者会議および国会審議の議事録を用いて、栄養教諭制度創設時の配置方針を把握した。さらに、2007~2024年度までの教職員定数・実数に関する公的統計資料をもとに、調理方式別学校給食実施状況の推移などを分析した。

    〔結果〕「栄養教諭等」が1校に1名配置される学校は学校給食実施校の約1割にとどまり、共同調理場方式の増加に伴い複数校兼務が拡大・常態化している。その他調理方式の学校が増加し、定数の算定対象外となる学校も増加している。「栄養教諭等」の基礎定数比率は2011年度以降100%超で推移する一方、基礎定数は減少傾向にあり、栄養教諭の構成比率は約70%で停滞している。加配定数は増加傾向にあるものの、自治体申請に基づく暫定的措置で持続性に乏しい。栄養教諭の育成講習事業予算は2017年度以降停止され、栄養教諭への一本化に向けた施策も不十分である。

    〔結論〕栄養教諭の配置に関する現行制度の課題として、義務標準法における基礎定数の算定条件の不十分さ、制度の実効性の限界、教育活動に即した栄養教諭の定数算定の不備、国の支援体制の脆弱さが挙げられ、教育活動を十分に支える制度設計とは言い難い状況が示された。

  • 小川 直子
    2026 年20 巻2 号 p. 99-114
    発行日: 2026/04/25
    公開日: 2026/04/29
    ジャーナル 認証あり

    〔目的〕大学生アスリートの身体づくりやパフォーマンス向上に適した食生活、生活習慣を実践することは重要であるが、それらの専門知識を持たない大学生アスリートも多く存在する。そこで食生活や睡眠の質にも着目した生活習慣の改善と身体づくり、パフォーマンス向上をめざした栄養教育プログラムを作成し、その有効性を検証した。

    〔方法〕大学生女子サッカー部員26名を対象に食生活や生活習慣について調査し、体組成改善やパフォーマンス向上を目的とした栄養教育プログラムを作成して実施した。研究期間は3カ月間とし、食事調査、体組成、骨密度、ヘモグロビン濃度、睡眠の質、消費エネルギー量、YO-YO Testによる持久力パフォーマンスの測定を実施した。介入前後でそれらを比較したと同時に、骨格筋量増加の要因を明らかにするための比較検討も行った。

    〔結果〕介入によって摂取エネルギー量、栄養素量が有意に増加し、骨格筋量が増加して、持久力パフォーマンスも向上した。骨格筋量は全体的に増加したが、一部の対象者の筋肉量増加量が少なかった要因として最も注目すべきは睡眠の質の違いによるものであった。

    〔結論〕アスリートとしての十分な食知識を持たない大学生女子サッカー選手を対象とした栄養教育プログラムには、アスリートとしての食事内容や摂取のタイミングをはじめ、望ましい生活習慣についても繰り返し教育することで定着を図るだけでなく、睡眠の質を向上させるための規則正しい生活習慣の重要性についても教育する必要性が示唆された。

調査報告
  • 三村 千春, 中坪 太久郎, 大橋 靖史
    2026 年20 巻2 号 p. 115-127
    発行日: 2026/04/25
    公開日: 2026/04/29
    ジャーナル 認証あり

    〔目的〕本研究では、大学生を対象とした食に関する幸福感尺度(Eating Well-being Scale:以下、EWSとする)の作成とその信頼性および妥当性の検討を行い、食物選択動機や共食頻度などの指標との関連を検討した。

    〔方法〕予備調査を2回実施し、EWSの項目作成および探索的因子分析、信頼性の検討を行った。本調査では、関東圏内の大学生322名を対象に質問紙調査を実施し、EWSの妥当性および食に関わる指標との関連について検討した。

    〔結果〕分析の結果、「食のポジティブ感情」「食生活の満足感」「食事場面におけるネガティブ感情の欠如」の3下位尺度から成る12項目のEWSが作成された。食物選択動機との関連においては、「栄養と健康」と「食生活の満足感」、「感覚的快楽」と「食のポジティブ感情」との間に正の相関が見られた。食行動異常傾向との関連については、「食事へのとらわれ」と「食生活の満足感」および「食事場面におけるネガティブ感情の欠如」との間に負の相関が見られた。また、共食頻度が低い者よりも高い者の方が「食生活の満足感」「食のポジティブ感情」が高かった。

    〔結論〕EWSが作成され、妥当性と信頼性が確認された。食物選択動機、食行動異常傾向、共食頻度との関連について検討したところ、先行研究を支持する結果に加えて、下位尺度ごとの特徴についても確認された。

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