要旨: 日本音響学会の新聞記事読み上げ音声コーパスの中の株式会社エイ・ティ・アール自動翻訳電話研究所によって作成された ATR 音素バランス文に基づく音声コーパスから 5・6・7 文節の文を抽出し, 単独話者による読み上げ音声を使用して, 認知機能に異常の無い60歳以上の整形外科入院患者34名を対象として, 一日に10文, 10日間の聞き取り課題を施行した。書き取りデータをテキストデータ化した後, 文節正解率・音節正解率・音素正解率・母音正解率・子音正解率を自動採点した。文節数の判定及び自動採点には, Python, CaboCha, MeCab, KyTea, KAKASI に基づいたプログラムを使用した。100文合計の文節正解率・音節正解率・音素正解率・母音正解率・子音正解率はそれぞれ0.66±0.22, 0.78±0.17, 0.81±0.14, 0.81±0.14, 0.81±0.14であった。本システムは今後発表される新たな音声コーパスに基づいた聞き取り検査の開発・評価にも有用であると考えられる。
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