1995年1月から2004年12月までの10年間に
千葉市立海浜病院
小児科において口腔より臨床分離されたA群溶血性連鎖球菌の薬剤感受性の年次推移, 除菌失敗率について検討した.
755株が分離され, 薬剤感受性試験ではpenicilin G (PCG), cefotaxim (CTX), cefaclar (CCL) に全株が感受性であった. erythromycin (EM) 耐性株はこの10年間で増加し, 耐性率は2001年以降各年10%を越え, 2004年は19%だった. 特にMIC 16μg/mL以上の高度耐性株が増加していた.
ペニシリン系薬による治療後の除菌失敗は調査期間中118株 (15.6%) で, この10年間で明らかな増加傾向は認めなかった.
近年, 細胞内侵入能を有するA群溶血性連鎖球菌の存在が明らかになり, βラクタム系抗菌薬による余菌失敗の原因のひとつとして考えられている. これらのA群溶血性連鎖球菌に対しては細胞内への移庁性の良いマクロライド系薬が選択肢となりうる. しかし, 近年マクロライド耐性株が増加しており, その使用に際しては細菌培養を行い, 感受性に注意を払うことが重要である.
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