前主系列星では主系列星よりも連星をなす恒星が多い、といくつかの観測から示唆されている。一方、主系列星では公転周期が数日と極端に短いホットジュピターと呼ばれるガス惑星がいくつも発見されている(e.g., Mayor & Queloz 1995)。現在の主系列星の多くはかつて連星をなしていたこと、前主系列星と主系列星の連星頻度の差とホットジュピターの存在度は相関することが考えられる。我々は、連星形成と惑星形成には関連性があると考える。Toyota et al. (2009) により、連星をなす恒星 ADS 3085 A と ADS 3085 B は視線速度の標準偏差が十分大きいと分かった。この主星と伴星は、それぞれ未知の伴天体が付随するかもしれない。我々は、2007 年 12 月から2009 年 12 月まで、ADS 3085 A と B の視線速度をフォローアップした。視線速度の周期解析から、ADS 3085 A と B それぞれの視線速度は、7.7 日周期と 5.2 日周期で変動する可能性がある。ADS 3085 A と B ともに、
彩層
活動が活発であること、ヒッパルコスの測光データが変光を示すことから、恒星表面の Cool spot が自転とともに移動していると考えられる。ADS 3085 A では、視線速度と
彩層
活動が強く相関するので、視線速度変動の起源は恒星の活動にある。ADS 3085 B
では、視線速度変動と
彩層
活動の相関を調べることはできなかったが、視線速度変動が恒星活動に起因する可能性は除去しない。
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