原子力災害避難者の帰村に向けた課題を明らかにするために,福島県飯舘村からの避難者を対象に,仮設住宅や営農再開農家に対して実施した調査の結果をまとめた。帰村意向が高い60歳以上の層においては,車の運転ができなくなった後の生活への不安が大きく,直近の事業計画だけでなく,避難解除後長期にわたり帰村者の生活をどのように支えるかを明示する計画が必要だと考えられる。また,帰村意向が低い若年・子育て世代との意識の相違は,放射線への不安だけではなく,これまで村づくりや産業振興を通じた参加機会の差が村や帰村に対する想いの差につながっていると考えられる。
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