ヒトの味覚中枢の研究は、視覚や聴覚,体性感覚等の感覚器に比較して遅れており、まだ解明されていない点が多く残されているものと思われる。動物の味覚中枢は生理学的な研究によって解明がすすんでいるが、ヒトの味覚中枢伝導路については、生理学的研究や中枢性疾患により生じた味覚障害例などから検討されているものの、同側性、対側性、あるいは両側性に上行するという報告があり、一定の見解は得られていないのが現状である。そこで、本稿では、脳磁場計測および中枢性味覚障害例による検討結果を基に、味覚中枢とその伝導路についての考察を紹介する。
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