介護をめぐる問題は社会的に大きな関心事であり,高校家庭科における教育課題である。一般に介護の現実はつらく厳しいが,自分流のちょっとした工夫があれば,苦労や困難のなかに楽しみを見つけることもできる。高校家庭科において,介護への否定的な意識を改善し,創意工夫をすることによって,男女がともに介護に対しても明るく楽しみながら取り組む意識と行動力を育てる介護実習授業を構想した。授業での学習にとどまらず,実生活につなげる実践活動の方法として,学習指導要領に位置づけられている家庭クラブを活用する授業案を作成し,実施した。高齢者の介護について知恵を出し合うことによって多くの工夫が生まれることを実感させることができた。さらに,ゲストティチャーを招いた家庭クラブでの学習会において,それらの工夫が利便性を追求した環壌整備に片寄っていたことに気づかせることができた。多くの生徒が排泄介助の実習と介護の工夫を考える演習に興味をもって取り組み,有用性の意識も高いことが確かめられた。
抄録全体を表示