本研究の目的は歩行着座で行われる身体の回転が,着座時の左右対称性に及ぼす影響を明らかにすることとした.対象は健常若年男性 25名とした.動作課題は, 3m前方の椅子に向かって直進し,立ち止まることなく方向転換を行いながら着座する動作とした.計測には三次元動作解析装置と床反力計を用いた.得られたデータから 2種類の指標,すなわち回転に関する指標と,着座時期における非対称性を示す指標を抽出し,動作の前半に行われる回転と後半に行われる回転とでどちらの回転量が多いと左右対称な着座動作に近づけられるのかを調べた.その結果,歩行着座の前半である 2歩前足接地時に行われる回転量が多いと,着座中における骨盤の回転,足部の位置調節,重心の左右移動,の観点から左右対称な着座に近づけられることが示された.
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