授業改善に役立つような授業の記録とその分析の方法の開発という視点から小学校理科授業に関する記録・分析方法についての今日的検討を施し, ■個々の学習者の概念形成過程の解明, ■個々の学習者が受容した情報の時系列捕捉, ■学習者間のコミュニケーションの時系列捕捉, ■授業者の振る舞いの時系列捕捉, ●授業者の振る舞いの矛先の解析,を実現し得るような方法論の確立が必要との知見を導いた。加えて,そのための当面の糸口として, ●ノート指導の工夫, ●ワークシートの改良, ●授業記録採取の多次元化, ●行動分類カテゴリの今日的な再検討,の4項目を掲げるとともに,これらの項目が達成されることにより実現する事項についての現時点における見通しを提示した。次に,小学校理科の授業研究で従来から多く用いられてきたビデオテープレコーダによる授業記録について,各種の録画採取法を比較検討するとともに,複数のビデオ録画システムを相互に同調させながら補完的に用い,複数の録画様式を併用して多次元の記録採取を実現することで,最近の小学校理科授業に対応した授業記録の獲得が可能になることを示している.
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