現在,地域の農林水産業が衰退傾向を示しつつある中で,ブランド化の取り組みの中でも,特に「地域ブランド」が,それらの生き残り方策の一つのキーワードとして脚光をあびている。そのような中で,2006年からスタートした地域団体商標制度は,「地域ブランド」化の取り組み状況を把握する一指標として捉えられている。水産業界においても,地域団体商標を登録しようとする動きが活発である。
そこで本稿では,水産物のブランド化の取り組みの中でも地域団体商標制度を取り上げ,その効果と課題を検討し,水産物のブランド化という取り組みの中で,地域団体商標制度は,地域や地域の漁業にとってどのような意味を持つのかを実証的に考察した。具体的には,第1に,水産物(水産加工品を含む)の地域団体商標の全体状況を把握し,その特徴を明らかにした。第2に,京都府の丹後町漁協で取り組まれている間人ガニのブランド化の事例を取り上げ,当該事例における地域団体商標制度の効果と課題を示した。第3に,事例からみる水産物のブランド化の取り組みの意味と課題について考察した。
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