横浜市のコミュニティハウスは,公立小中学校の余裕教室を活用して設置された小規模生涯学習施設である.本稿の目的は,学校との複合施設でいかに生涯学習が展開されてきたのかを,利用者の構成,施設の選択理由および評価についての調査を通して明らかにすることである.利用者の主体は中学校区内に居住する成人女性や高齢者で,施設を選択した最大の理由は自宅に近いことであった.各館ではさまざまな自主事業が実施され,事業への参加を契機にサークル活動を始めた者も多く,職員による支援事業が生涯学習活動の展開に大きな力を果たしてきた.これらの活動には学校設備も積極的に利用されている.学校側がコミュニティハウスの設備や機能を利用する事例は乏しいが,利用者と児童生徒・教員の間に連携も芽生えっっある.複合施設の利点を活かすためには,支援事業をさらに充実させ,学校との連携を進める必要があろう.
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