中国の辺境で国家を作り上げた古代日本に、『文選』や『芸文類聚』などの漢詩とともに中国から七夕伝説が伝播した。七夕の詩宴ではこれらの漢詩を模倣した七夕詩が作られたが、その向こうを張って行なわれた七夕宴では、七夕のストーリーや登場人物の設定を脱構築し、恋する男女の立場に立って歌うという特徴をもった人麻呂歌集七夕歌が作られた。
本稿では中国中原から伝播したストーリー(『柳蔭記』)をもとに歌垣歌を創作する雲南省ペー族の人々の技術を参考にしながら、人麻呂歌集七夕歌の脱構築という方法がどのように獲得されていったのかについて論じる。
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