心筋梗塞,脳梗塞,糖尿病などの動脈血栓性疾患の増加に伴って抗血小板療法は広く行われるようになり,再梗塞の予防に大きく寄与しているが,一部の施設を除いて薬効判定はほとんど行われていない.その理由として,血小板機能検査が煩雑で時間がかかるため多検体を処理できないという検査上の問題と,血小板機能をどのレベルに保てばよいのかという臨床評価上の問題が挙げられる.後者は検査法が確立されていない現在,目標を設定すること自体困難であることから,簡便,迅速,安価に行える検査法を開発することで臨床データが蓄積され,解決されると思われる.このような条件を満たす測定法は現在のところ確立されていないが,血液を前処理することなく,直接測定できる全血の血小板機能測定法の開発が進んでいる,これらの測定法による抗血小板薬の薬効評価が試みられており,今後の展開が期待されている.
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