成人T細胞白血病・リンパ腫(adult T-cell leukemia/lymphoma, ATL)は極めて難治性の末梢性T細胞リンパ腫である。近年初発ないしは再発難治ATLを対象にいくつかの新規薬剤が承認されたが,十分に予後の改善を実感できていない。ATLにおいても次世代シークエンスをはじめとした技術革新により,網羅的なゲノム解析を中心に病態解明が飛躍的に進歩している。本稿では最近の病態解明がもたらした新規治療開発や予後指標の同定について,最近の話題を中心に紹介したい。特に,新規EZH1/
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阻害薬の開発から承認,網羅的遺伝子解析の深化,網羅的な遺伝子ノックダウンやノックアウト技術により見いだされた分子病態と治療標的としての可能性,スーパーエンハンサー領域の解析結果から見いだされた最新知見,網羅的遺伝子解析から抽出された予後因子候補について概説する。
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