クロルフルアズロンの安全性を評価するために各種毒性試験を実施した. まず急性毒性は原体, 製剤ともきわめて弱く普通物相当であった. 眼一次刺激性試験の結果, 原体および乳剤で刺激性が認められたが, 乳剤の200倍希釈液およびSC剤は非刺激性であった. 皮膚一次刺激性試験では, 原体およびSC剤は非刺激性であり, 乳剤のみ刺激性がみられたが500倍希釈液は非刺激性であった. 皮膚感作性は原体, 製剤とも陰性であった.
マウス, ラットおよびイヌを用いた13週間亜急性毒性試験に引き続き, マウスおよびラットによる慢性毒性・発癌性併合試験ならびにイヌによる慢性毒性試験の最高投与量を, それぞれ10,000, 10,000ならびに50,000ppmで実施した. 血清コレステロール値の上昇が動物種に共通してみられたが, 高投与量にもかかわらず全般的に毒性の発現は弱く限られたものであった.
ラットによる繁殖試験ではとくに異常は認められず, またラットおよびウサギによる試験で催奇形性はみられなかった.
復帰変異, 染色体異常およびDNA修復の各変異原性試験の結果はいずれも陰性であった. 一般薬理試験ではクロルフルアズロンを大量投与して中枢神経, 呼吸, 血圧および心電図等への影響を調べたが異常はみられなかった.
クロルフルアズロンは定められた使用基準を遵守すれば安全性の高い農薬であり, 乳剤が昭和63年10月, SC剤が平成4年6月に殺虫剤として農薬登録され, 野菜, 茶, リンゴ等の分野で使用されている.
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