1910年代から20年代にかけて、日本では、片岡安、関一、池田宏が、海外文献を紹介しつつ、住宅問題と都市計画を論じた。渡辺俊一は、欧米と日本の都市計画家は、「都市問題と住宅問題とを一元的に解決すべきである」という「一元化テーゼ」を提唱したと主張する。本論文はこの説を検証し、(1)ドイツの都市計画家は、都市計画と住宅政策を一元的に議論し、都市計画法と住宅法を一元化したが、イギリスの都市計画家は住宅問題の一要素としての「住宅の環境のアメニティ」に焦点を当て、アメリカの都市計画家は住宅問題を都市計画の問題から除外した。(2)日本では、片岡、関、池田は、両者を二元的に論じ、都市計画法と住宅法の二元的制度の発達を意図したことを明らかにしている。
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