本論は,米国の家庭科カリキュラムの到達点として,1998年に刊行されたナショナルスタンダードを検討し,「実践問題アプローチ」のカリキュラム理論がどの程度反映されているか,また各州の家庭科カリキュラムの特色がどのように影響しているかを明らかにした。ナショナルスタンダードは,生徒が身に付ける能力や学習内容を明確にするとともに,その内容を探究する上で不可欠なプロセスを重視し,両者を統合することができるように全体を構造化している。「実践問題アプローチ」の特色である実践問題,家族の行為体系,実践的推論が採用され,オハイオ,ウィスコンシン,ミネソタ,
メリーランド州
の各家庭科カリキュラムの成果が反映されていた。家庭科ナショナルスタンダードは,「実践問題アプローチ」を中核に据えつつ多様なカリキュラムを統合して,教師が柔軟に活用するための枠組みモデルを提供している。
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