米国における半世紀に及ぶ廃止措置の経験は,廃止措置の世界に斬新な手法を生み出した。発電という収益事業から支出のみの廃止措置業務への移行において,事業の管理形態はもちろんのこと作業環境の変容が生むリスクや廃棄物対策に向き合い,廃止措置を「安全に早く安く」仕上げるというチャレンジングな課題に,産業界と規制当局が連携して取り組んできている。近年,民間企業が電気事業者からライセンスを譲り受け,廃止措置を請負ではなく自らの事業として展開する事業形態が開発され,最近に至り,使用済燃料やプラントリソースをも取得する革新的な形態へと進化している。
シカゴのハロルド・ワシントン・ライブラリ・センターには,大人向け,中高校生(ティーンズ)向け,子供向けの3か所にメイカースペースが設置され,そのすべてに3Dプリンタをはじめとしたハイテク機器が置かれている。背景には,オバマ政権の進めた「STEM教育」の重視や,「ものづくり立国」戦略がある。政府方針にのっとり,全米の学校,図書館,博物館に3Dプリンタの設置が急速に進んだ。特に図書館は,新技術を地域の若者や創業者,中小企業に広げ,地元の産業競争力をつけるのに重要な役割を担わされている。メイカースペースを内包することで,地域における図書館の存在が,再評価されているといえる。
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