発熱, 下腿浮腫を主訴とした54歳の女性で, 著明な爪甲鈎彎症とア
カツキ
病を合併していた稀なNIDDMの1例を経験した. ア
カツキ
病は, 通常脱落, 清浄化されるはずの角層が, 鱗屑痂皮として皮膚に蓄積した状態で, 爪甲鈎彎症は, 爪が雄羊の角状に異常に肥大した疾患である. 入院後の経過は感染症, 糖尿病とも治療により良好となり, ア
カツキ
病, 爪甲鈎彎症も改善した. 知能検査より, 精神発達遅滞が示唆された. 本症例のア
カツキ
病の原因としては精神発達遅滞が, また爪甲鈎彎症の原因としては糖尿病コントロールの不良と爪周囲炎が考えられた. さらに爪甲鈎彎症による疼痛が, ア
カツキ
病を悪化させたと思われる. 糖尿病の治療には, 良好な血糖コントロールが重要であるが, 精神発達遅滞のある糖尿病患者の場合は, 患者や家族の教育だけでなく, 保健婦などによる訪問看護などを展開し, フットケアの徹底も重要であることが示唆された.
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