フィリピン在来のココヤシ普通品種及び矮性品種, それぞれ3個体を用いて, 雄花と雌花の開花習性について検討した. 雄花の開花は普通品種及び矮性品種にかかわらず, 仏焔苞が開裂した直後から始まり, 約20日間にわたり徐々に開花した. 矮性品種 (Kap-atagan, Orange dwarf) では, 12~15日間の雌花の開花期間は同一花序内の雄花の開花期間中に終了し, ほぼ完全に重複していた. 一方, 普通品種 (P. C. Cebu, Camiguin, Ordinary tambolilid) では同一花序内の雌花と雄花の開花期間はほとんど重複せず, 雌花の開花は次に出穂してくる花序の雄花の開花時期と大幅に重複していた.他の矮性品種 (Tacunan) は中間型であり, 雌花の開花期間は同一花序内の雄花の開花時期と一部重複し, かつ, 次の出穂花序の雄花の開花とも一部重複していた. また, 発芽能力のある花粉を高収量で得るための条件を調べた.雄花を採取するたあに, 仏焔苞の開裂後, 上位花穂から順次収穫し, 得られた雄花を40℃で20時間乾燥処理したとき, 発芽率の高い多量の花粉が得られた. 採取した花粉を凍結保存したとき, 少なくとも2年間は著しい発芽率の低下は認められなかった.
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