【目的】エフ
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ギモドは重症筋無力症(MG)に対する抗FcRn抗体フラグメント製剤であり, 内因性IgGのFcRnへの結合を阻害することで内因性IgGのリサイクルを阻害し, IgG分解を促進し血中IgGを減少させる薬剤である. MGの標準的治療であるステロイドや免疫抑制薬の治療で奏効しない場合の追加治療で使用される. 当院では重症例や症状増悪例に対し, 大量免疫グロブリン療法や免疫吸着療法を施行してきたが, どちらも入院が必要であり, 血栓症や血圧変動などのリスクを伴う。今回再発を繰り返す症例に対し, 外来でエフ
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ギモドの点滴を施行し, 血清IgGの推移と症状を確認した. 【症例1】19歳女性. 構音障害, 嚥下障害, 眼瞼下垂を主訴に受診し, 抗AChR抗体陽性MGと診断した. ステロイドとタクロリムスで加療するも数回の症状増悪を認めたため, 外来でエフ
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ギモド治療を開始した. 点滴前の血清IgGは644mg/dlであり, 1回目で440mg/dl, 2回目で334mg/dlまで低下し, 症状も改善したため終了し, ステロイド減量にも成功した. 2か月後に血清IgGは635mg/dlまで増加した.【症例2】38歳女性. 眼瞼下垂, 複視, 頸部筋力低下を主訴に受診し, 自己抗体陰性MGと診断した. タクロリムス内服で症状改善に乏しく,症状の増悪を認めたため, 外来でエフ
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ギモド治療を行った. 点滴開始前の血清IgGは1070mg/dlであり, 1回目で718mg/dl, 2回目で547mg/dl, 3回目で508mg/dlと低下し, 症状も改善したため終了した. 2か月後に血清IgG は982mg/dlまで増加し, 4か月後に症状が再発したため2クール目を行ったが, 同様の効果が得られた.【考察】2症例ともエフ
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ギモド使用により血清IgGが開始前から約50%減少し, 症状の改善が得られたが, 2か月後の血清IgGは開始前の値に戻った. MGの自己抗体である抗AChR抗体は患者個人の重症度と相関するため, 抗体価を下げることは症状悪化を予防できる. 血清IgGの推移を確認しつつ, 的確な時期に繰り返しエフ
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ギモドを行うことでMG症状の良好なコントロールが得られる可能性がある. 【結論】エフ
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ギモドは外来で可能な治療であり, IgGの推移を予測しながら繰り返し施行することで, 症状増悪に伴う入院を減らし, QOLの維持に貢献する治療と考える.
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