キリスト教社会主義
運動は、教会が世俗社会の諸問題に積極的に介入することを目的とする運動である。英国において一九世紀中頃からイングランド国教会の聖職者によって展開されたこの運動は、第二次大戦後の福祉国家建設に大きく資し、その思想的影響は今日まで及んでいる。一方で
キリスト教社会主義
運動はその草創期から芸術を通じての人格陶冶や芸術的生活の提唱など、芸術的要素を内包していた。一九世紀末に芸術家サークルの中で再活性化した同運動は、世紀転換期から二〇世紀前半にかけての社会的変動に対応して、団体としての教会を主体とするものへ、さらには国家機構を通じて社会改革を図る方針へと移行する。このプロセスの中で
キリスト教社会主義
運動の復興期にその原動力として決定的な役割を果たしていた芸術的要素は、次第にその革新的な性格を変質させ、
キリスト教社会主義
運動と近代社会との調和を図る働きを期待されるようになるのである。
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