ギ酸ナトリウム,ギ酸マグネシウム,ギ酸カリウム,ギ酸カルシウム,ギ酸マンガン,ギ酸コバルト,ギ酸ニッケル,ギ酸銅,ギ酸亜鉛,ギ酸ストロンチウム,ギ酸カドミウム,ギ酸バリウムおよびギ酸鉛の熱分解反応を熱テンビン, X線回折,ガスクロマトグラフィー分析,化学分析などによって研究した。
(1)これら
ギ酸塩
の熱分解反応は,分解温度および活性化エネルギーを
ギ酸塩
の金属-酸素(M-O)間結合エネルギーと比較することによってつぎに示す3つの型に分類できた。
(2)ギ酸コバルト,ギ酸ニッケルおよびギ酸銅の熱分解は分解生成物である金属単体の接触作用によって反応が連鎖的に進み他の塩類とは違った集団を形成した。これら重金属の触媒作用はギ酸ナトリウムおよびギ酸カリウムにギ酸ニッケル,ギ酸コバルト,ギ酸銅などを混合し,この混合物を熱分解したさいにも確認された。
(3)(1)-(b)の反応では検討したすべての
ギ酸塩
について,その分解温度はそれぞれの炭酸塩の分解温度より低いにもかかわらず固相生成物として炭酸塩あるいは酸化物を生成する。この二つのうちどちらが有利かは
ギ酸塩
を構成している金属の炭酸塩の熱安定性と深い相関にあり,反応機構と関連づけて考察した。
(4)ギ酸ナトリウムおよびギ酸カリウムの熱分解における主反応はシュウ酸塩の生成反応(1)-(c)であるが,このシュウ酸塩の生成はコバルト,ニッケル,銅などの重金属によって阻害された。
抄録全体を表示