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クエリ検索: "クリストファー・シムズ"
2件中 1-2の結果を表示しています
  • 「シムズ提案」から学ぶべきこと
    宮尾 龍蔵
    NIRAオピニオンペーパー
    2017年 30 巻 1-8
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/05/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    物価上昇圧力が思うように高まらない中、柔軟な財政政策運営を活用する提案が注目を集めている。中でもプリンストン大学
    クリストファー
    シムズ
    教授による提案は一般紙でも取り上げられている。具体的には、2%のインフレ目標の達成まで、政府は財政収支均衡にとらわれずに柔軟な政策運営を行うことで、消費支出を増やし物価の上昇を目指すというものである。その提案の背景には、「物価水準の財政理論(Fiscal Theory of the Price Level, FTPL)」と呼ばれる理論がある。シムズ提案とその背後にある FTPL 理論はどのようなロジックに立脚し、私たちはそこから何を学ぶべきか。その理論の基本的な特徴は、政府と中央銀行による「政策行動パターン(=政策レジーム)の組み合わせ」から、マクロ経済政策を分析するという点にある。政府の行動は、財政収支が均衡するように政策運営を行うかどうか、そして中央銀行の行動は、政府とは独立して物価目標を目指すかどうか、という観点から分類される。それぞれの組み合わせにより、物価の決定メカニズムが異なる。現代の先進国において通常想定されるのは、財政規律を守る政府と、政府とは独立して物価目標の達成を目指す中央銀行の組み合わせである。シムズ提案は、一時的・部分的とはいえ、均衡財政に必ずしもこだわらない柔軟な財政政策運営を提唱する。過去の事例を見ればFTPLのロジックが妥当するようなケースも存在し、シムズ提案やそれに類する取り組みには大きな効果も期待される。一方で、政策提案を具体的に検討することで意図せざる法制度の改正などにつながり、財政ドミナンス・財政インフレに陥るといったテイルリスクも排除できない。シムズ提案がもたらす機会とリスクの両面を冷静に分析する必要がある。
  • 緩和長期化のもとでのリスクと意義を考察する
    宮尾 龍蔵
    NIRAオピニオンペーパー
    2019年 41 巻 1-10
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/05/17
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    日本銀行が掲げる 2%物価安定目標の達成には、まだ相応の時間がかかるとみられており、金融緩和の長期化は、財政規律を低下させて最終的には財政従属による高インフレ(財政インフレ)をもたらす、将来の出口の際の国民負担を増大させる、といった懸念が表明されてきた。財政と金融が協調するもとで、積極緩和がもたらすリスクと意義はどのように評価すべきなのだろうか。本稿では、まず財政インフレの懸念について、「マネタリストの不快な算術モデル」に基づき理論的に検討する。いくつかのシナリオを想定して、積極緩和によるメリット(通貨発行益の増大、金利の抑制、経済成長の改善)とデメリット(財政赤字の増加)の両方について比較考量を行い、前者のメリットには政府債務・GDP 比率の伸びを抑制して財政インフレ・レジームへの移行を遅らせる効果があることを定量的に示す。出口の際の財政負担についても、再投資の期間や金利正常化後のバランスシート規模によっては、当初の損失をその後の利益が上回る可能性がある。財政政策と金融政策の協調は、大規模緩和の前提である政府と日銀の「共同声明」で包括的に記されており、今後も堅持していかなくてはならない。
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