本稿は、シンガー・ソングライターでありフルーティストでもあるAlexandre Andrés
の「Ala Pétalo」という、2013年リリースのブラジルの楽曲を題材とし、この楽曲にお
いて多調的アプローチを採る3箇所についてを、同じく多調という概念を導入し発展させ
た20世紀初頭のおもに新古典主義と言われる一派の音楽を比較・参照しながら分析する
ものである。
分析の手法としては、シャルル・ケクラン著『和声の変遷』の多調に関する章をベース
とし、同時代の作曲家であるイベール、レスピーギ、ミヨー、ラヴェル、ホルストのいく
つかの楽曲を比較・参照しつつ、基本的なキー、スケール、度数といった概念については
機能和声を踏襲した。
抄録全体を表示