強化学習に内発的動機づけ機構を組み込んだアプローチの1つとして,階層型強化学習がある.階層型強化学習は,Agentの内部機構を問題解決のための上位方策(サブゴールの適用順序)と下位方策(サブゴールまでの行動系列)の2つに分割し,それぞれを学習するものである.サブゴールの定義が適切であれば,従来の強化学習では解決が困難な報酬が疎な環境や長い行動系列の学習を必要とする環境でも問題解決ができることが示されている.しかしながら,既存の階層型強化学習は,問題解決に必要なサブゴール群が事前に得られていることが前提となっており,自律的な強化学習を実現するアルゴリズムとなっていない.そこで本研究では,問題解決に必要な経験や適切なサブゴール群を徐々に生成する仕組みを導入した新しい強化学習アルゴリズムであるStepwise Unified Hierarchical Reinforcement Learning(SUHRL)を提案する.SUHRLは,Fuzzy ARTによる段階的なクラスタリングと経験獲得処理を行うことで,適切なサブゴールを段階的に生成して問題解決を行う.MiniGrid環境やMontezuma’s Revengeを用いた評価実験の結果,提案手法によって段階的に必要なサブゴールを生成することができ,自律的に問題解決できることを示す.
観光地が指向すべきは「観光客」か「訪問客」か。第16回日本ベンチャー学会沖縄大会の初日には、この問いが象徴する「観光とは?」の議論が交わされた。これを受け本稿では、沖縄県とハワイ州に、観光のマクロ統計の国際標準(TSA)を加え、その定義と範疇の相違を検証する。続いて本稿では、ISバランスを踏まえ、沖縄経済、社会の基幹産業である観光の位置付けを再度検証する。その背景を踏まえつつ、県経済の6割に迫る財政(援助)の存在が実物面だけでなく、物価を高止まりさせ資産市場の資源配分を歪めている可能性を指摘する。さらに本稿では、その結果地域に生じる格差に言及し、壮年期あるいは次代に続く「貧困の悪循環」が確認される。しかし本稿はまた、それでも高い沖縄県の潜在成長、起業の余地に触れ、一般向けに書かれた共通ではない地域の実情に則した「起業」、「ベンチャー」の必要性への言及を以て閉じている。
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