アフリカ大陸で感染した三日熱型マラリア27人の内,
サハラ砂漠
以南の地域で感染した者は25人で, 卵型マラリアは21人であった。卵型マラリア原虫は, 少数の例外を除き熱帯アフリカにしか流行していないので, この事実は熱帯アフリカに旅行, 或いは滞在する日本人が多くなった事を示す。卵型マラリア感染地はナイジェリア, マラウイ, ギニアがそれぞれ6, 4, 3人で, その他ケニアとコンゴ (ブラザビル) が2人ずつ, タンザニアが1人, 西アフリカの3つ以上の国に滞在した者が3人あった。
三日熱マラリア患者は,
サハラ砂漠
以南の地域では, マラウイ, ギニア, マリおよびマダガスカルで1人ずつ感染している。
サハラ砂漠
以北ではエジプトとエチオピアで1人ずつ感染している。
特に注目すべき点は, 元来黒人にはほとんど病原性がないと言われている三日熱マラリア原虫が, 熱帯アフリカの国で卵型マラリア原虫と同時に流行していることである。熱帯アフリカの三日熱マラリア原虫は, おそらくアフリカ大陸以外の地域から, アラビア人, インド人, その他の人種によって持ち込まれたものであろう。マダガスカル島の住民は, インドネシア人と民族学的に近縁であるといわれているので, マダガスカル島に三日熱マラリアがあっても不思議ではない。
熱帯アフリカの国には, 三日熱と卵型マラリアが同時に流行しているので, 血液標本はpH7.2-7.4の緩衝液を用いて注意深く検査する必要がある。
抄録全体を表示