【はじめに】 東海市より二次予防教室を受託し、3ヶ月を1期とした教室を3期行い、利用者の意識調査と体力測定結果の比較検討を行った。
【対象】 当教室を3ヶ月間利用された平均年齢71.2歳の44名(男性25名、平均身長164.0㎝、平均BMI23.7、女性19名、平均身長148.7㎝、平均BMI24.5)を対象とした。また本研究の趣旨と内容、得られたデータは本事業と本研究の目的以外には使用しない事、個人情報の漏洩に注意する事について説明し、理解を得た上で協力を求めた。また本研究への参加は自由意志であり、被験者にならなくても不利益にならない事を口答と書面で説明し同意を得ている。
【方法】 指導内容は、跨ぎ動作や物拾い動作、腰や膝痛予防の為の姿勢指導とHURマシン・ズボンゴムを用いた筋力トレーニングを行った。運動効果検証項目は、握力・開眼片脚立ち・10m歩行・膝伸展・屈曲筋力・姿勢測定とし、握力は、徒手筋力計(アニマ社製)、HURマシン(インターリハ社製)により膝伸展・屈曲筋力を測定。姿勢測定は、姿勢測定器(PA-200:
ザ
・
ビッグスポーツ
社製)を用いた。PA-200では、足圧の左右前後4か所における割合と前額面上の眉間中心・喉元・臍の中心線からの距離、矢状面上の耳穴・左右大結節・左右大転子の中心線からの距離、耳穴・上前腸骨棘・第五中足骨粗面でなす角度を計測した。また教室前後の運動機能変化を検討する為の統計処理は、対応のあるt検定を用いて有意水準を5%とし教室前後を比較した。
【アンケート内容】 事後アンケート:1. この教室に参加されたきっかけ。2. この教室に参加されて。3. 体調・体力に変化はありましたか。4. このような教室にまた参加したいと思いますか。5. この教室についての自由記載。の5項目。
【結果】 体力測定:全ての測定項目にて改善や改善傾向がみられた。
姿勢測定:眉間・喉元・臍・上前腸骨棘・右膝・C7・上後腸骨棘・右耳・左大結節が中心方向に移行したが、足圧計に関しては、有意差はみられなかった。
アンケート結果:「とても良かった」と「良かった」と合わせて96%と高い満足度がみられ、参加されて良かった点としては、「元気になった」が62%、「友達ができた」「生活リズムができた」が13%と続いていた。体調・体力に変化を感じられた方は93%、その内「動作が楽になった」は41%、「姿勢が良くなった」が23%と続いた。
【考察】 利用者の96%が「とても良かった・良かった」と満足度は高く、体力測定の結果も全ての項目において改善や改善傾向がみられた。また姿勢測定も、多くの項目で改善傾向がみられた。先行研究では、機能維持する最低限の運動頻度を週2-3回以上の運動が必要であり、筋力維持が目的であれば、週1回の頻度でも可能としている。本事業では、週1回の教室であったが、自主トレーニングを行われた方もあり、その効果も出ていると考える。また運動意欲が高く精神的要因も作用し、自主練習や教室の運動や姿勢指導の内容を自己確認できていたと考える。また96%の参加者が、今後もこのような教室に参加したいとされ、教室のみで定期的な運動習慣が終わるのではなく、運動の継続に対して支援ができるようにしていきたい。
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