nrITS マーカーにもとづく解析結果によると,シモツケソウ属(バラ科バラ亜科)の東アジア産の種の系統関係は本属の分類システムのどれとも完全には一致しなかった.北西アメリカ産のFilipendula occidentalis (S. Watson) Howell は著しく隔離されており,東アジアの種とはほとんど関係がなかった.本研究では
シコクシモツケソウ
F. tsuguwoi Ohwi(四国・九州)とタイワンシモツケソウ
F. kiraishiensis Hayata(台湾)の2 種がシモツケソウ
F. multijuga Maxim.(本州)に関係があるのみならず,互いに密接な関係があることを確認した.このクレードにはヒマラヤ産の
F. vestita Maxim
. が含まれる.2 つの広分布種オニシモツケ
F. camtschatica (Pall.) Maxim. とエゾノシモツケソウ
F. glaberrima Nakai は
Albicomae 節の種と関係がある.韓国産の狭分布種チイサンシモツケソウ
F. formosa Nakai はこのクレードの基部に位置する.北海道固有のエゾノシモツケソウ
Filipendula yezoensis H. Hara は
F. glaberrima と同一種とされることが多いが,広分布種である
F. glaberrima から軽微に分化した種らしい.
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