(1) 試料として入手した玄米の形状は,対照(コシヒカリ,ササニシキ,トヨニシキ)の粒長5.2mm,粒幅3.1mmに対し,両アルボリオ(アルボリオJ-1,アルボイオJ-10)は,粒長(7.2mm),粒幅(3.3mm)ともにまさり大粒であり,外国種(密陽23号,来敬,IR-42, RP 9-3)は,粒長は長く(6.6mm),粒幅は狭い(2.4mm)インド型に特有の細長い形状を示した。
(2) 米ぬかから粗原油をクロロホルム-メタノールで抽出して油分とした。対照は23.5%の油分を示した。両アルボリオ,外国種とも対照の油分を上回った。クロロホルム-メタノール抽出物にジエチルエーテルを加え再溶解を行い,可溶性物について特性,脂肪酸組成,トコフェロールを分析した。
(3) I.V.は対照の107.4(平均)に対し,外国種は102.7(平均)と低い傾向を示した。
(4) 脂肪酸組成は,オレイン酸に関して対照の約38%に対して外国種は約43%と5%多かった。しかし,リノール酸に関しては対照の約37%に対し,外国種は約32%と逆に5%少ない結果を示した。1/2の日本種の系統をもつ両アルボリオは,対照とほぼ同じ組成であった。
(5) 総Toc含有量は,3グループの中で対照が一番多く,外国種が最低の含有量であった。Toc組成は,対照及び両アルボリオでα-Tocが多かった。しかし,両グループにおけるα-Toc比は異なり,対照が高い比率を示した。特にササニシキは84.8%を占めた。Toc組成をパターンとして観察すると,コシヒカリとトヨニシキが近似のパターンであり,また外国種の4品種もそれぞれ近似と見なせるパターンを示した。
(6) Toc-3の含有量は,標準Tocを規準として計算上求めた。外国種はTocに関しては低含有量であったが,Toc 3ではかなり多くTocの約3.57倍を含んでいた。その主成分はγ-Toc-3で,およそ89%を占めていた。一方,対照のToc-3中のγ-Toc-3は約60%であった。
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