ツシマヤマネコ
Felis bengalensis ssp.の食性調査を1967年8月~1969年12月に採集した糞230個を利用しておこなった。その結果, 哺乳類2科, 鳥類7科, 魚類1科2種, 両生類1科1種, 爬虫類1科2種, 昆虫42科45種, 植物36科40種, その他クモ, カニムシ, ダニなどが同定出来た。
動物性のものについてはツシマヤマネコが積極的に採食したと考えられるものが多いが, 食糞性の昆虫, カニムシ, その他付着物と考えられるものなどがわずかであるがみられた。また植物性の多くはツシマヤマネコが積極的に採食したとは考えられないようである。ただ頴花目の雑草の茎葉は他の植物とはちがって意図的に食べられていると思われる面がある。
季節的にみるといくらかの変化があるがいずれもツシマヤマネコの食性の変化ではなく, その周囲の環境の季節的な変化が反映していると思われた。
糞中に再現する可能性も考慮した摂取量から考えてツシマヤマネコの食物の中心はネズミ類であり, ツシマヤマネコ1頭が年間2000頭を捕食しているものと推定される。
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