三重県尾鷲市の壮齢(林分B) と若齢ヒノキ林(林分D) および奈良県上北由村の壮齢ヒノキ林(林分A) におけるリターフォールの季節変化を明らかにし,食葉性昆虫類の糞から被食量を推建した。落葉のピークは10月下旬~11月下旬で,年落葉量の大部分がこの期間に集められ,リターフォールの季節変化を特徴づけていた。落枝量は秋~冬に多く,季節風,降雪の影響と考えられた。結実による球果の落下が生殖器官の落下の特徴を代表した。昆虫類の死体と糞の落下は夏に多く,鞘翅目,セミ類の遺体が目立ち,虫糞は食葉性昆虫類のもので,虫体と虫糞は異質のものであった。年総リターフォール:量は, 3.1~4.1 t(dw)/ha・y(林分A), 2.7~4.3t (dw)/ha・y (林分B), 2.2~2.8t (dw)/ha・y (林分D)で,うち落葉量は各林分それぞれ,2.3~3.1t (dw)/ha. y, 1.6~3.2t (dw)/ha・y, 2.0~2.st(dw)/ha・yで,林分Bの1.6t (dw)/ha・yがもっともすくなかった。年平均落枝量は,0.57t(dw)/ha・y (林分A). 0.82t (dw)/ha・y (林分B), 0.16t (dw)/ha・y (林分D), 虫糞量は, 10.3~23.8kg (dw)/ha・yとなった。食葉性昆虫による葉の被食量(食害量)は, 19~43kg(dw)/ha・yで,落葉量の0.6~1.7%に相当し,葉量,生長にあたzる影響はほとんどないものと推定された。
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