本論文は, ロボットに設置される色々なセンサからの信号を多重化してその配線数を減らすことを目的とした,
スペクトラム拡散
通信システムに関するものである.提案する通信システムにおいては, 各送信回路及び受信回路が直列に接続されており, また, 変調信号はアナログ信号位相シフト回路によって, 各回路間で常に同期が保持されるようになっている.実際に, この独自の同期保持手法を採用して, 符号長127ビットの拡散符号を使用した通信システムを試作し, 所望の信号の復元に要する時間を調べたところ, 3msまで短縮されていた.また, そのS/I比はおよそ23.5dBであった.本システムの特徴はこの短い信号復元時間及び, センサの設置が任意の場所で任意の数だけ変更できる点にある.これらの利点から, 本通信システムは多くのセンサ信号を実時間で処理しなければならない, ロボットシステムなどへの応用が可能である.本論文ではまず, 各回路間での同期保持の方法について論じ, 続いてこれを実現するためのシステム及び回路構成について述べ, 最後に構築したシステムについてS/I比の評価を行う.
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