日本では様々な年中行事に伴う多様な行事食がありクリスマス料理もその1つである。しかし、年代による違いを含め、クリスマス料理に関する研究報告は少ない。そこで、本研究では料理番組「キューピー 3分クッキング」(以下、通称である「3分クッキング」と記す)の、1974年~2020 年のテキストの記載や放送状況から、昭和から令和にかけてのクリスマス料理の変遷を辿った。70年代は放送日数、料理数とも少なく定番とされる料理を中心に紹介された。80年代から 90年代にかけて放送日数、料理数とも 70年代より増え行事食としての演出も食卓に加わるようになった。90年代は放送日数やメニュー数が増加し、巷で流行した料理なども加わり西洋料理に加えて紹介され、料理のバリエーションが増加した。2000年代は放送日数の平均は調査期間中最大になり、行事食として安定的に放送されるコンテンツとなった。2010年代に入ると、パーティ料理としての位置づけが強くなる一方、社会全体のムードとしてクリスマスの行事としての特別感の低下がみられたことを反映して、後半からクリスマス料理としての独自色はうすくなる傾向がうかがえた。
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