阪神大震災における既成組織のボラン
ティア
活動の事例について報告するとともに, 日本社会におけるボラン
ティア
の位置づけを軸として, 日本社会とボラン
ティア
の変容過程を分類整理する概念枠組みを提示した。まず, 阪神大震災時, 有効な救援活動を行った既成団体の事例として, (1)
企業
(2) 半官半民の公益団体 (3) NGOのそれぞれについて、特徴的な団体をインタビュー調査し、記述及び内容的整理を行った。次に、阪神大震災時の救援ボラン
ティア
活動を, 一時的・突発的な現象ではなく, 日本社会の長期的な変容過程の一部として把握するため, (1) ボラン
ティア
が篤志的活動である社会 (2) ボラン
ティア
が補完的役割を果たす社会 (3) ボラン
ティア
が第3セクターをなす社会 (4) あらゆる活動を「震災ボラン
ティア
」が担う社会 (5) 既成組織のネットワーク化をボラン
ティア
と呼ぶ社会, の5類型モデルを提示した。この5類型は, 高度経済成長と「ゆたかな社会」の到来に伴う, 既成組織の枠を越えたネットワーク的活動の勃興を整理した図式であり, 日本社会におけるボラン
ティア
の位置づけの変化を反映したものである。さらに, まさに形成の途上にある社会的現実として, 「ボラン
ティア
」を把握し研究する方向性を提示した。
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