本稿の目的は,オーセンティックタスク開発ための方法論を展望することである。そのため,まず.オーセンティックタスク開発の観点と方法を整理した。次に,オーセンティックタスクの開発から,実践までのプロセスを分析した。プロセスの分析はWeb上に残された記録を中心に行った。その結果,以下の3点を明らかにした。(1) オーセンティックタスク開発に関わる循環型Web検討システムは,開発者と実践者の時間的・空間的距離を縮小させただけでなく,両者にタスクの開発過程を省察させる機会を提供した。(2) Web上で開発したオーセンティックタスクを検討する際の観点は,実践を行う前には「タスクの内容」や「ルーブリック」の吟味にあり,実践後はその観点が「解答の考察」や「児童の反応」の分析に移行した。(3) オーセンティックタスクでは,児童にとって多元的な現実の課題を模写するような文脈の設定がより重要である。
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