無線通信技術の進化に伴い,車外と「つながる」機能は,「走る」「曲がる」「止まる」と並ぶ車の基本機能と位置づけられている。このうち,AM/FMラジオ,デジタルラジオや地デジ等の放送受信システムは,エンターテイメントや交通情報等を手軽に入手する手段として,今後も車にとって欠かせない装備である。放送受信システムのアンテナとしては,セダン系車種を中心にリアガラスアンテナが多く採用されている。一方で,SUV等のハッチバック系車種においては,性能確保やノイズ対策の難しさから,シャークフィンアンテナ等のルーフに設置するタイプのアンテナが主に用いられており,デザインに制約を与えていた。マツダは,強みであるデザインの魅力を最大化させるため,ハッチバック系車種に適用可能なリアガラスアンテナの開発に取り組んだ。その結果,アンテナ素子の工夫や構造要件を見出すことで,ハッチバック系車種に適用可能とし,FMダイバーシティーやDAB(Digital Audio Broadcasting)等の新メディアの受信にも対応可能な新世代リアガラスアンテナを開発し,新型MAZDA3に導入した。
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