本研究は、デジタルゲームに付属する取扱説明書を、ゲーム本体(テキスト)に対する「パラテクスト」と位置づけ、その歴史的変容を分析する。特に、プレイヤーにゲームの遊び方を教示する「チュートリアル機能」に着目し、この機能が技術的進化とデザイン思想の変遷に伴い、いかにして紙媒体の取扱説明書からゲームソフトウェア内部へと「移行」していったかを実証的に考察する。この分析は、取扱説明書の役割の変化を単なる「衰退」としてではなく、ゲームデザイン史における重要な機能的移行の過程を記録した歴史的指標として再評価するものである。本研究を通じて、取扱説明書のデジタルアーカイブが持つ資料的価値を具体的に示し、ゲーム研究における新たな視座を提起する。
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