三相流動層によるフェノール廃水の基礎的な生物処理実験を小型のカラムを用いて行い, 生物処理特性を評価した。粒状担体として用いた活性炭BACとCB濾材は, 石英砂・豊浦砂に比べ, 流動層における生物膜の付着が早く, ほとんどの場合, 1週間以内で均一な付着が認められた。本実験の範囲内では, フェノール処理は生物膜体積よりも生物膜表面積に依存した。このことから, 押し出し流れを仮定した生物処理特性の評価式を導いた結果, 本実験の範囲内において, フェノール処理はみかけ上0次反応として取り扱えることがわかった。すなわち, 単位時間当りのフェノール全処理量は, 生物膜厚みおよび担体の種類 (活性炭BACおよびCB濾材) にかかわらず, 直接的に生物膜全表面積に比例した。また, 濃度変動による短時間の過負荷に対しては活性炭の吸着作用は効果的であるが, 長時間の過負荷に対してまでは担体の吸着作用の利点は認めがたかった。
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