「へー」は新たな情報を受け止めたことを示す際に使用される言語資源の1つであることが指摘されている.本稿は,「へー」が新たな情報が提示された直後ではなく,連鎖組織上関連付けられているひと連なりの連鎖(本稿では「一連の連鎖」と呼ぶ)全体が収束可能な位置に至った後に用いられることに注目し,この特定の位置に用いられる「へー」の相互行為上の働きを明らかにすることを目的とする.分析を通して,「へー」は,1)会話参加者の間に生じた認識の相違によって展開される一連の連鎖,2)「へー」の受け手によって報告されるニュースを契機に展開される一連の連鎖が収束可能な位置に至った後に用いられることが観察された.また,上記のいずれの環境においても,話者は「へー」を用いることによって,「へー」が産出されるまでの一連の連鎖を明示的に収束させ,会話を前進させることが確認された.一連の連鎖を明示的に収束させたうえで,次の新たな連鎖に移行するために,「へー」は利用可能な手続きである.すなわち,「へー」は複数の関連のある連鎖を組織するための手立てとして利用可能な相互行為の資源と言える.