本研究では,水害を防止・軽減するためにLPWA(Low Power Wide Area)通信規格を用いたリアルタイム浸水モニタリングを提案する.その実現性の検証のため,横浜駅周辺の河川6か所と排水溝2か所に,設定レベルに対する水位の上下をフロート式センサで検知し発報する,乾電池駆動の試作機を8台設置した.131日間15105回の送信に対する無線通信の信頼度は99.94%であり,電池に大きな消耗は見られなかった.河川設置の中の4台は設定レベルを潮位変動幅内にし,1日当たり概ね2回の潮の満ち引きで水位検知の信頼性を検証した.水位上昇時の感度はセンサにより異なり76.6から86.6%であった.排水溝では,台風の降水によると考えられる水位上昇を検出したが,その後,原因不明の水位上昇の発報が見られた.水位の検知を安定させることが今後の課題である.
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