2020 年 76 巻 1 号 p. 84-97
地下街等において水害に対して適切に浸水防止や避難を行うには,降雨や水位等の状況を把握することが必要となる.本研究では地下街等の施設管理者の水防活動を調査し,必要な情報を入手するための情報システムの役割と課題を整理した.その結果,限られたエリアを多角的に把握したい施設管理者のリクワイヤメントに対して,自らの観測設備の情報を公平に広域的に提供する行政のシステムでは適合しないという課題が確認された.このため,統合的な水防情報システム「エリアレイン」を開発して,2018年8月から横浜駅西口の事業者等を利用者とする実証試験を開始した.「エリアレイン」は,対象エリアの情報を自動的に収集し,危険度の判定,情報の要約,関係者への通知,可視化を行う.利用者による有用性の評価は,浸水,水位,降雨,潮位の順であった.