症例は27歳,女性.
ヒルシュスプルング病
にて,乳児期に根治手術を受けている.平成2年11月,右下腹部痛出現,近医にて急性虫垂炎の診断のもと開腹,回腸の腹壁への穿通と狭窄を認め,回盲部切除を施行された.病理診断で肉芽腫を認め,クローン病の診断のもと,以後ED療法が行われていたが平成7年2月初旬より,腹痛,嘔吐が出現し当院内科に入院.腸閉塞の診断で, TPNにて栄養管理を行うとともに, long tubeが挿入された.症状軽快したため, long tube抜去するも再度,腸閉塞症状出現し内科的治療抵抗性のため,当科転科となった.肛門機能検査所見などを考慮し,当科では結腸亜全摘,回腸人工肛門造設術を行った.切除標本では, S状結腸に,強度の狭窄を認め,腸閉塞の原因が同部位の狭窄に起因することが判明した.
ヒルシュスプルング病
とクローン病の合併は,本邦では,本症例を含めて2例の報告があるのみで,極めて稀であり報告する.
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